2010年7月13日火曜日

危険防止ということ 3

危険防止について具体的な注意事項を3回に分けて書きます。

最初は道具の点検について。
弓道が道具を使って行う競技である以上、いちばんの基本です。
練習前には必ず弓具の確認をする習慣をつけてください。

●把の高さ(弦を張る高さ)は14.5cm~15.5cmが基準。
一般に弦は自然に伸びるものであるから高すぎるよりは低すぎることの方が多い。
把が低いと手首を打つなどの怪我のもとになるし、離れで弦が返ってしまう事故が起きやすくなる。(これは弓の破損の原因になる)

●弦は出木にならないように調整すること。
グラスの弓だからそれほど癖を意識する必要はないのだけれど、たまに出木にかかっている弦を見かける。
出木弓は前矢が出たり、弦が返ったりして危険なので厳に注意してほしい。
そもそも弦輪の作り方、かけ方を間違っている人も多いのだが…
わからなければ質問してください。

●中仕掛がほどけていたら必ず直すこと。
学生はこれに無頓着な人が多くて非常に切ない。
ゆるゆるの仕掛で今にも矢が落ちそうな人がいる。
失矢して中りを損するだけなら自分の問題だから何もいわないが、もし空筈で事故が起きたらどう責任をとるのか。ぼろの仕掛けで何も感じない人は弓を引く資格はないと思う。

そもそも見た目が美しくないものを放置しておくことも問題だが、弦の寿命を短くしていることに気づいてほしい。道具を粗末に扱う人はまず上達しない。
「直す時間がなくて」という人がいるが言い訳にならない。練習しないからいつまでたっても素早くできるようにならないのだ。一年以上弓を引いていて仕掛けを直すのにもたもたしているようなら恥じるべきです。

●弓に傷などがないか確認する。
破損の元になるような大きな傷は滅多にあるものではないが、だからといって点検をおろそかにしてよい理由はない。
将来、竹弓を引きたいと思うなら今のうちに弓の扱いを覚えておこう。
(もちろんグラス弓だから雑に使っていいものでもないわけだし)
普通は稽古の前後に弓拭きをかける際に傷などがないか確認するのだが、困ったことにそもそも弓拭きさえ使わない人がいる。
いくら注意してもあらたまらないが、指紋がべったりの弓で人前に出てなんとも思わないのだろう。こればかりは本人の自覚を待つしかないと思って半分あきらめているけど…

●その他
弓だけではなく、矢(筈の状態や矢の曲がりがないかなど)、カケ(革の破損、弦枕の状態など)も点検をする。
もちろん必要があれば筈の交換やクスネを流すという手入れをする。
こういったことは射手のたしなみとして覚えておいてほしい。
どうか「筈が壊れていて矢が足りません」なんて言わないでください。それくらいは自分で修理するものです。

わからなければ質問してください。
次回は行射時の注意です

2010年7月6日火曜日

危険防止ということ 2

ヨコヤマです

前回の最後にも書いたんですが、弓道は基本的には安全な競技だと思っています。
たとえばサッカーでも何でもいいけど、他の競技では骨折や靭帯損傷みたいに、ケガがつきものの競技だってある。
それに比べたら弓道のケガなんてほとんどない。

肩を痛める人がたまにいるくらいで、あとは角見にマメができるとか、矢枕の皮膚をするとか、弓手の内側をはらうとかその程度。
入院が必要とかそういうアクシデントはまずない。すくなくとも自分の二十年の経験の中では見たことがない。
大学生が部活でやるスポーツとしては、もっともケガがないもののひとつだと思う。

そもそも、人に矢が刺さる事故っていうのは滅多におきないからこそ大きなニュースになるわけで、事故ってことでいえば、野球でデッドボールやピッチャーライナーが頭にあたる方がずっと確率は大きいし危険だと思う。

ことほどさように弓道は安全な競技なのだが、それでも、弓を知らない人には「弓道は危険だ」というイメージがどっかにある。
これはもう武器である以上は仕方がない。宿命であると言える。

ボウガンで動物を遊び半分に射るような事件があったりする。
ああいのうを見るとつくづく悲しくなる。弓の心得がある人間はあんなことはしない。
事件を起こすのはいつだって遊び半分の素人なのだが、それでも世間的なイメージダウンは避けられない。
弓には実際に殺したり傷つけたりする能力はある。弓道人はそのことを常に肝に銘じて行動すべし。

くれぐれも事故を起こさないよう。

次回は具体的な注意を書きます。

2010年7月5日月曜日

危険防止ということ

ヨコヤマです。

新入生が的前練習を始めました。
いよいよ楽しくなってきますね。見ている方も楽しみです。

時おり、弓道部での事故のニュースが報じられる。
昨年も高校アーチェリー部での死亡事故があった。
もちろん、事故は滅多にあることではありません。
滅多にないからこそ、いざ起きたときはニュースになってしまう。
そして弓道は危険だというイメージを世間に植えつけてしまう。
これは非常に不幸なことです。被害者にとっても加害者にとっても。そしてすべての弓道家にとって。

一年生が巻藁・的前を引けるようになって自主練をしたいという時、ある時期までは上級生抜きでの行射は禁止です。
また、許しが出るまでは大前・落に立ってはいけません。
これは必ず守って欲しい 。

今の的前の矢は矢尻が平題・板付といって割と安全な形状をしている。
至近距離で急所に当たらなければ大事故にはなりにくい。
(いや、小事故だってダメなんですけど)
僕が学生の頃は埋め込み式といって非常に鋭い矢の根が許されていたんです。今でも部室の大筒には残っていると思いますが、学園祭の射的以外では使用厳禁。

 弓道でもっとも事故が多いのは巻藁です。
これは矢先も椎の実型で尖っているし、近距離で見ている事が多いから事故の際は大怪我につながりやすい。
 特にうちの射場の場合、巻藁を置く位置には細心の注意をはらってください。
巻藁の矢は上にそれる場合があることを考慮して、後方に人が通らない場所を確保しましょう。

危険防止は、射技指導以前のもっとも基本ですから、よくよく考えてください。
射手の右前方には決して立たないとか、矢取の際は射場の声を待ってから入るとか、道具はいつも点検して破損の怖れのないものを使うとか。
基本さえ守っていれば弓道は野球やサッカーよりもずっと安全な競技だと思います。

この項、次回に続きます。