前回ゴム弓練習まで進みました。
今日は、いよいよ本物の弓を使う練習に移ります。
・素引き(すびき)


矢を番えずに直接に手で弦を持ち弓を引きます。
この練習は射法八節を身につけるためのものです。
「徒手とゴム弓でさんざん八節の練習はしてきたから大丈夫」と思いますか?
いやいや、それが実際に弓をもってやってみるとなかなかうまくはいかないのです。
最初は初心者用のごく弱い弓を使って練習するのですが、それでさえ強く感じるはずです。
もちろん筋力も要因ではありますが、それだけではありません。
屈強なラグビー部員や柔道部員が来たとしても女子用の弓でさえまともに引くことはできないでしょう。
それは技術がないからです。
素引きでは力でなく技で弓を引くための基礎を身につけるのです。
たとえば「手の内」といって弓を左手で握る技術はこの段階で十分に練習してください。
週に三回の練習として、2週間程度は素引きに費やします。
素引きに十分慣れる頃には5月の半ばくらいになっているでしょうか。
さて、いよいよ次は矢を番えて引く練習ですので、ここで弓具店へ行って「ゆがけ」を買いましょう。
初めて自分の道具を持つことになりますね、期待が高まります。
・巻藁前(まきわらまえ)
矢を番えて練習すると言ってもいきなり的に向かっては引けません。
最初は「巻藁」といって藁を固めたもので練習します。

ここに来て、初めて弓道の難しさを知ることになると思います。
今まで徒手やゴム弓や素引きで身につけてきたはずのことがまったくできなくなってしまう。
それほどに矢を番えて引き放つということは難しいものです。
最初は怖いかも知れません。それが当たり前です。
バンバン中る先輩も最初はみんなそうだったのです。
基礎を繰り返し練習すれば必ず引けるようになります。



巻藁には十分な時間をかけましょう。
目安としては一ヶ月ほどですが、上達の具合によって短くもなり長くもなります。
仮に他の人より時間がかかっても落ち込んだりする必要はまったくありません。
この段階でのほんのわずかの遅れなど長い目で見れば差はないも同じです。
巻藁は初心者専用の練習というわけではありません。
すべての弓道家は生涯巻藁から離れず己の射型を確かめます。
それほどまでに重要なものなのです。
さて、次回はいよいよ「的前」です。
この時のために今まで練習してきたと言って過言ではありません。
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