2010年4月26日月曜日

的を貼りましょう 2

「的を貼りましょう 1」からお読みください。


前回、下準備まで説明しました。
いよいよ貼る作業に移りましょう。

●帯を巻く
用意した120cm×7cmの帯を的枠に巻いていきます。
これは糊を使いません。ただの水に浸した帯を巻いてゆきます。
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ぼろになった的紙を破るときに的紙の端っこがくっついたままできれいに剥がれないという経験をしたことがありませんか? あれは不快なものです。
それを防ぐために、こうして水だけの帯をあらかじめ巻いておきます。

日本全国、他にもこの方法を採用している学校はあると思いますが、もし初耳であれば一度騙されたと思って試してみてください。
ペリペリと気持ちよく剥がれていくさまは病みつきになります。
「水だけで巻いてうまくくっつくの?」という質問を受けますが、そのあと上から糊を使って紙を貼ってゆくと大丈夫です。

尺二寸の的枠であれば、直径36cm×3.14で最低113cmの長さの帯が必要です。
もし新聞紙で作るのであれば、新聞紙の見開きは81cmなので横幅いっぱいに使っても足りません。
その場合は二枚の帯を重ねて貼るといい感じです。


●下紙を貼る
用意しておいた下紙に糊を塗って的枠に貼ってゆきます。
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糊は全面に均一にムラなく塗ること。特に端っこの塗りが甘いとそこから剥がれてくるので念入りに。
あまり厚く塗ると乾いた時に紙にシワが寄ります。

角度を変えて一枚づつ重ねてゆきます。
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このとき、空気が入りやすいのですが、これが仕上がりに重大な影響を及ぼします。
極力空気が入り込まぬよう、紙自体の重さを利用して丁寧に貼ってゆきます。
和紙は丈夫なので、左右から強めにピンと張っても破れません。
下紙の段階で失敗するとあとで取り繕うことは極めて難しいので慎重に。

四枚の下紙を貼り終えたところ。
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上手に貼られた下紙は、四枚が一枚になったかのごとく一体化しています。

●的紙を貼る
さぁ、いよいよ最終段階です。
まずは的紙の裏全体にムラ無く糊を塗ります。
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※ポイント!
この時、作業台に下紙を塗った際の糊が残っていると的紙のオモテ面を汚してしまうので、必ず作業前に台を雑巾で拭いておくこと。

天地左右にズレがないようにしっかりとあわせる。
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※ポイント!
的枠自体が歪んでいると絶対に上手く貼ることはできない。
練習用の的と試合用の的は分けておき、試合の時には歪みや破損のない的枠を使うこと。

空気を抜きながら丁寧に貼る。
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最後の仕上げ
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掌に糊を浸し端の部分を押さえてゆく。
どんなに丁寧に貼っても糊のうまくついていないところはあるので、この作業を抜くとあとでそこからはがれてきてしまう。
「手がベタつくのは嫌だな」とは言わないこと!最後の最後まで精をこめて貼った的は頬ずりしたくなるほどかわいいものです。

●感想
貼った的は立てて乾燥させる。
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糊は「ちょっと薄いかな?」と思うくらいの濃さに調整するのがコツ。
濃すぎると乾燥したときにゴワゴワになりやすいようです。

的貼りの技術は実はかなり奥が深いです。
同じ糊、同じ的枠を使っても人によって出来上がりは大きく違います。
上手い人が貼った的は本当に惚れ惚れするような美しさで、もちろん的中音も心地よい。
「あの人の的は凄い」と尊敬されるようになりたいですね。

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